ソニー会長・出井伸之さんの著書「ONとOFF」。この本は、出井さんがソニー社内サイトの中で社員に向けて頻繁に発していたメッセージを纏めて本として出版したものです。
内容がとても面白くて、かなりざっくばらん。ビジネスの話はまぁもちろんだけど、プライベートの世界、ワインや音楽、ドライブ、ゴルフに至るまで盛り沢山(特にゴルフは相当好きなんだろうな、と一読してわかる)。
そして、たぶん、それほど推敲や編集のプロセスを経ずに、短期間でがーっと書いたものをそのままUPしたような印象を受けます。よい意味での生々しさ、荒さがそのまま提示されている。まるで、昼食でも共にしながら社員に語りかけている感じ。
社外の人間である僕が読んでいても、その人柄まで感じ取れるくらいだから、さぞかし社員の皆さんにとってはとても興味深かったことと思います。社長(当時)のメッセージがダイレクトに伝わってくると言うのかな。
結果、当然というか、そのコーナーは爆発的なアクセスに。さらに読んだ社員さんは感想や意見を之またダイレクトに出井さん宛に送信、社長も直接それを読んでいたみたいです。
■■■
実は、僕の会社でも現社長から社長の社内向けホームページを設け、やはり社長のメッセージが掲載されています。僕も何度か観たことがあって、サイトのデザインもきれいだし、全体的に見やすい。
でも、悲しい哉、周りの声を聞く限り、あまり観られていることもなさそうで、場合によっては全然知らない人もいるほどです。
どうしてか?
その理由は、あくまで僕の想像にすぎないけど、とても明確です。
ダイレクト感とスピード感。
たぶん、僕の会社の社長サイトでは、社長自らが文章を書いていることは間違いないと思うけど、筆を下ろしてからサイトにアップするまでに、たぶん"社長サイト運営委員会"的なところで、綿密なチェックが入っているんだろうと(内容はまぁそれほど口を挟まないとしても、その他見せ方やテーマ選定などの部分で)。そして、言葉の角は多少なりとも取れてしまったり、そもそもチェックのプロセスが入るために自ずと最終アップまでに時間がかかってしまう。
それに比べて出井さんの文章は、ダイレクト感が強い。もちろん事前に誤字・脱字や無用な語弊を防ぐための最低限のチェックを行った後でアップしているとは思うけど、手触り感というか直接語りかけるかの如き文章となっています。そして、チェックのプロセスが短い分、スピード感ある更新が可能となっているのかな。社長自らアップロードしているんじゃないかな?と思うくらい。
■■■
ダイレクト感とスピード感。直接社員に語りかけるかの如き文章。
たぶん、好き嫌いは別として、少なくともソニー社員に社長の"顔"、考えていることやビジョン、危機感などがよく伝わっていると思います。
そして、企業トップの"顔"がよく伝わっている会社は、とても高い集中力と推進力を生み出すのだとも思います。
逆に、トップの顔が見えない企業はどうなるんだろう?・・・分散と迷走に陥ってしまうのか?
今、仕事でいろんな組織のサイトを自分なりに研究していて、よくある「社長のページ」「社長のメッセージ」についてあれこれ考えているうちに、こんな事を書いてみました。
社長コーナーそれ自体は形骸化している感があるけれど、でも、トップの考えを伝える工夫や努力は大切かもしれないな、と。
